6. Parallel Computing Toolbox の利用¶
6.1. Parallel Computing Toolbox について¶
Parallel Computing Toolbox の主な機能は次の通りです。
- パラレル for ループ (parfor) によるマルチプロセッサでのタスク並列アルゴリズムの実行
- CUDA に対応した NVIDIA GPU のサポート
- ローカルのマルチコア デスクトップで 12 ワーカーまで起動可能
- 大規模データ セットの処理とデータ並列アルゴリズムに対応する分散配列および spmd (Single Program Multiple Data) 構文
複数のワーカーによる並列処理を行うことで計算時間が短縮するメリットがあります。
また、GPU計算がサポートされているため、GPU を使用した演算が可能です。
詳細な内容は、Mathworks 社のホームページや、MATLAB のヘルプ機能をご参照ください。
6.2. 並列処理¶
ここでは、Parallel Computing Toolbox による並列処理の 基本的な利用方法を説明します。
次のような、sin カーブをプロットするコードについて考えます。
for i=1:1024
A(i) = sin(i*2*pi/1024);
end
plot(A)
このコードを並列処理する方法を説明します。
並列処理を行うためには、ワーカーを起動しておく必要があります。 ここでワーカーとは、MATLAB セッションとは別に動作するMATLAB 計算エンジンのプロセスのことで、 ワーカーを使用する関数を用いることで各ワーカープロセスに処理を割り振ることができます。 ワーカーの起動には parpool 関数を使用します。
>> parpool('local', 4)
Starting parallel pool (parpool) using the 'local' profile ... connected to 4 workers.
第2引数の「4」は起動するワーカーの数で、最大「12」まで指定できます。
並列処理を行うようにコードの修正を行います。 違いは、「for」の代わりに「parfor」を用いることだけです。
parfor i=1:1024
A(i) = sin(i*2*pi/1024);
end
plot(A)
ワーカープロセスを終了する場合は、次のコマンドを実行します。
>> poolobj = gcp('nocreate');
>> delete(poolobj)
Parallel pool using the 'local' profile is shutting down.
6.3. GPU を使用した演算¶
MATLAB R2010bから「Parallel Computing Toolbox」のGPUコンピューティング対応されています。 GPU とのデータのやり取りを意識する必要があり 主な手順としては次のようになります。
- GPUメモリに送信
- GPU上で計算
- GPUから結果を回収

GPU 演算の流れを実際の計算例を使って示します。
この例ではGPU のメモリ上にデータを送信する関数「GPUArray」と、 GPU 上の結果をメインメモリへ回収する関数「gather」を用いています。 また、fft2 関数は GPU 計算に対応しており使用例を示します。
>> N = 6;
>> M = magic(N) ← 行列 M を作成
M =
35 1 6 26 19 24
3 32 7 21 23 25
31 9 2 22 27 20
8 28 33 17 10 15
30 5 34 12 14 16
4 36 29 13 18 11
>> G1 = gpuArray(M); ← GPU メモリに送信
>> G2 = fft2(G1); ← fft2 を GPU 上で実行
>> M1 = gather(G2) ← 結果をメインメモリを回収
M1 =
1.0e+02 *
6.6600 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 - 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i
0.0000 + 0.0000i 0.7200 + 0.3118i -0.2700 - 0.4677i -0.3600 + 0.6235i 0.5400 - 0.0000i -0.6300 - 0.4677i
0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.5400 + 0.3118i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 - 0.2078i 0.0000 + 0.0000i
0.0000 + 0.0000i 0.4500 + 1.0912i 1.3500 + 0.4677i 1.2600 + 0.0000i 1.3500 - 0.4677i 0.4500 - 1.0912i
0.0000 + 0.0000i 0.0000 - 0.0000i 0.0000 + 0.2078i 0.0000 + 0.0000i 0.5400 - 0.3118i 0.0000 + 0.0000i
0.0000 + 0.0000i -0.6300 + 0.4677i 0.5400 + 0.0000i -0.3600 - 0.6235i -0.2700 + 0.4677i 0.7200 - 0.3118i
>> M2 = fft2(M) ← CPU のみで計算した場合。GPU での計算結果と同じになることが確認できる。
M2 =
1.0e+02 *
6.6600 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i
0.0000 - 0.0000i 0.7200 + 0.3118i -0.2700 - 0.4677i -0.3600 + 0.6235i 0.5400 + 0.0000i -0.6300 - 0.4677i
0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.5400 + 0.3118i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 - 0.2078i 0.0000 + 0.0000i
0.0000 + 0.0000i 0.4500 + 1.0912i 1.3500 + 0.4677i 1.2600 + 0.0000i 1.3500 - 0.4677i 0.4500 - 1.0912i
0.0000 - 0.0000i 0.0000 + 0.0000i 0.0000 + 0.2078i 0.0000 + 0.0000i 0.5400 - 0.3118i 0.0000 + 0.0000i
0.0000 + 0.0000i -0.6300 + 0.4677i 0.5400 + 0.0000i -0.3600 - 0.6235i -0.2700 + 0.4677i 0.7200 - 0.3118i
なお、GPU 対応している関数の一覧を得るには次のコマンドを実行します。
>> methods('gpuArray')
Methods for class gpuArray:
abs csch im2int16 lsqr sec
accumarray ctranspose im2single lt secd
acos cummax im2uint16 lu sech
:(以下略)
個々の関数のヘルプを参照するには次のコマンドを実行します。
>> help gpuArray/functionname
mtimes関数の場合は次のようになります。
>> help gpuArray/mtimes
* Matrix multiply for gpuArray
C = A * B
C = mtimes(A,B)
64-bit integers are not supported.
Example:
N = 1000;
A = gpuArray.rand(N)
B = gpuArray.rand(N)
C = A * B
See also mtimes, gpuArray.
Documentation for gpuArray/mtimes
6.4. 複数ノードの使用¶
Warning
matlabにおける複数ノードの使用についてはMATLAB 2024bおよび2025bにて複数パターンの検証を行っていますが、全てのバージョン・並列数・ユーザープログラムでの実行を保証するものではありません。
複数ノードを使用して並列計算を行う場合、MATLABのGUIアプリケーションを起動するためのインタラクティブジョブの中で、並列計算処理を実行するバッチジョブを投入します。
並列計算処理実行用のノード確保に時間がかかる場合がありますので、以下の点にご注意ください。
- MATLABのGUIアプリケーションを起動するためのインタラクティブジョブは、十分な実行時間(h_rt)を確保してください。
なお、並列計算を行うだけの場合、こちらのジョブはインタラクティブジョブ専用キューやcpu_4といった、小規模な資源タイプで問題ありません。 - 並列計算のセットアップ時にValidationテストのため4回のジョブ投入を実施します。ジョブごとに待機時間が発生しますので、大きな資源タイプや多数のノードで並列計算を実行する場合は事前にセットアップを完了させておくことをお勧めします。 また、計算ノードの予約利用もご検討ください。

ジョブ投入の流れ
Info
MATLAB Parallel Serverに関する警告が出た場合は「OK」を押してください。

警告画面
<< 並列環境のセットアップ >>
- インタラクティブ実行にて、MATLABをGUI起動します。
- Home -> Parallel -> Create and Manage Clustersを選択し、Cluster Profile Manager ウィンドウを開きます。
- Add Cluster Profile -> Grid Engineを選択します。
- Editボタンを押し、以下の設定を行います。
- SCHEDULER PLUGINブロック内にある"Folder containing scheduler plugin scripts PluginScriptLocation"に
/apps/t4/rhel9/isv/matlab/plugins/matlab-parallel-gridengine-pluginを入力します。 - SCHEDULER PLUGINブロック内にある"Additional properties for plugin scripts AdditionalProperties"の右下にある"Add"ボタンを押し、それぞれ以下の内容を入力します。
- WORKERSブロック内にある"Preferred number of workers in a parallel pool PreferredPoolNumWorkers"に、確保した資源に合わせたworkers数を指定します。(例:cpu_4=3の場合は12、node_f=2の場合は384)
- 右下の「Done」を押し、Edit画面を閉じます。
- SCHEDULER PLUGINブロック内にある"Folder containing scheduler plugin scripts PluginScriptLocation"に
- "Validation"タブに切り替えるか"Validate"ボタンを押し、"Number of workers to use"に確保した資源に合わせたworkersを指定します。右下の"Validate"ボタンを押すと、設定値で正常動作するか実行テストを行います。全ての項目で"Passed"になることを確認してください。なお、2-5番目のテストでバッチジョブが投入されるため、ジョブの実行待ちが4回発生します
実行例 (cpu_8=5、workersに40を指定)
- 選択中のCluster Profile上で右クリックし、"Set as Default"を押します。(default)が設定されたことを確認してCluester Profile Managerを閉じます。
<< 並列環境の実行 >>
-
[Command Window]にて、以下のコマンドを実行します。 N はworkersの値に置き換えてください。
parpool(N) -
ジョブが投入されます。以下のメッセージが出力されコマンド入力可能になれば、複数ノードでの実行が可能となります。
Starting parallel pool (parpool) using the 'GenericProfile1' profile ...
<中略>
Connected to parallel pool with N workers.
- [Command Window]にて以下のコマンドを実行するか、投入したジョブの実行時間(h_rt)を超過するとプールが解放され複数ノードでの実行が終了します。
プールが解放されると、以下のメッセージが出力されます。delete(gcp);
Parallel pool using the 'GridEngineProfile1' profile is shutting down.
実行例 (cpu8=5)